戦術的アジリティ@スケール

戦術的アジリティ@スケールは、IT開発チームへのアジャイル/リーン戦略の適用に関連する。「スケール」と聞くと、大規模なチームに限定した話だと思うかもしれない。それが全くの間違いというわけではないが、我々の経験から言えば、単に規模の問題以上に戦術レベルでスケーリングするものがある。以下の図は、IT開発チームにおいて戦術的にアジリティを拡大しようとする際に影響を与える要因を大まかに示したものである。

【図1】ソフトウェア開発コンテキストフレームワーク(SDCF)の複雑さの要因

Context Factors

これらのスケーリング要因の詳細はソフトウェア開発コンテキストフレームワーク(SDCF)の記事を参照いただきたい。SDCFは、ソフトウェアベースのソリューションを開発するチームにおいてメンバー/プロセス/ツールを体系化するためのコンテキストを提供する。

図2は、戦術的にアジャイル開発をスケールするための3つのレベルを示す。

1. アジャイル/リーン
最初のレベルは、組織が、スクラムやカンバンのようなアジャイル/リーン手法を使い始める際の典型的な方法を示している。これらの手法の適用にあたっては、それぞれの手法の根本をおさえる必要がある。例えばスクラムであれば、エクストリーム・プログラミング(XP)、アジャイル・モデリング、クリスタル、アジャイル・データ等の手法を取り入れている。カンバンの場合は、現在使用している手法を効率化するためにカンバンを適用するところから始めて、徐々に他の手法のやり方を取り入れて自分たちの手法を発展させていく。どちらの場合も、チーム内にプロセスに関する一定の知識があることを前提としている。

2. ディシプリンド・アジャイル・デリバリー(DAD)
DAフレームワークは、さまざまなアジャイル戦略が互いにどのように機能しているかを明らかにし、既にアジャイルを実践しているチームは次のレベルに導き、アジャイルが初めてのチームにはプロセスガイドを提供してスムーズなスタートを切れるようにする。ディシプリンド・アジャイルは、複数のデリバリーライフサイクル全体をサポートし、各チームの置かれている状況に応じて柔軟にかつ目的に応じたテーラリングを可能にする。このフレームワークは、現在のIT組織が直面している現状を踏まえたしっかりしたアジャイルのロール(役割)と軽量なアジャイルガバナンス戦略を提供する。つまり、ディシプリンド・アジャイルは、アジャイルなソリューションデリバリーを戦術的にスケールするための確かな基礎を提供している。

3. アジリティー@スケール
SDFC(図1参照)のスケーリング要因に対応したデリバリープロセスである。チームが直面している状況に応じて、プロセス・チーム構造・ツール戦略がテーラリングされる。表1はプロセスをテーラリングする際に各スケーリング要因がどのように影響するかをまとめたものである。

【図2】戦術的&戦略的なアジャイル開発プロセスのスケーリング

agility-at-scale

【表1】スケーリング要因がDAフレームワークのテーラリングにどう影響するか

スケーリング要因 主に影響するプロセスゴール 追加情報
チームサイズ 大規模アジャイルチーム
地理的な分散 地理的に分散したアジャイルチーム
組織的な分散 ディシプリンド・アジャイル アウトソーシング
コンプライアンス アジャイルとコンプライアンス
ドメインの複雑さ TBD
技術的な複雑さ TBD

図2はアジャイルデリバリーをスケールする際に考慮すべき4つの組織的レベルを示している。この4つのレベルは以下の通り:

1. 個人(戦術的/戦略的)
アジャイルに熟練するには、基礎的なアジャイル/リーンの原則を理解し、日々の仕事の中でこれらの原則に従う必要がある。言い換えれば「アジャイルである(be agile)」必要がある。しかしながら、アジャイルであるだけでは十分ではなく、アジャイルの戦略やプラクティスに従い、「アジャイルを実践する(do agile)」必要もある。効果を発揮するためには、これらの戦略やプラクティスが互いにどのように調和しあい、いつそれらを適用すべきか(もしくは適用すべきでないか)を理解する必要がある。最終的には、置かれた状況に応じて手法を変更できる柔軟性を備える必要がある。

2. チーム(戦術的/戦略的)
チームは、「全体」である必要がある。つまり、対処しようとしている問題に取り組むためのスキルを持っているメンバーがチームの中にいる必要がある。チームは、必要とされているスケーリング要因を反映した形で組織され、機能すべきである。これはIT開発チームで特にあてはまる。

3. IT部門(戦略的)
IT部門には複数のチームがあり、それぞれ異なる状況に対応している。結果として、それぞれのチームはDAフレームワークを異なる形でテーラリングしたものに(さらに悲しいかな、DA以外の戦略にさえ)従うことになる。つまり、IT戦略はこのような多様な状況をサポートするのに十分な柔軟性を備えている必要がある。

4. 組織/エンタープライズ(戦略的)
組織全体がアジャイル/リーンの考え方に基づいて機能する必要があり、これによって全体的・包括的な戦略をダイナミックに最適化する。

以上で見たように、前者2つの組織レベルは戦術的/戦略的両方のスケーリングに適用可能である。一方で、後者2つは戦略的アジリティ@スケールにフォーカスしている。

ディシプリンド・アジャイルは戦術的アジリティ@スケールをサポートする

ディシプリンド・アジャイル(DA)フレームワークの重要な特徴は、戦術的レベルにおいてアジャイルソリューションをスケールする基礎を提供していることである。このために、以下のような複数の手法を使う。

1. スケーリング要因に対する系統立ったサポート
2. ゴールベースの戦略プロセス
3. ソフトウェア開発の全局面にわたるサポート
4. 開始から終了までのデリバリーライフサイクルのサポート
5. 堅牢なロールセットのサポート
6. エンタープライズに対する意識

オリジナル:Tactical Agility at Scale

Tactical Agility at Scale


 (翻訳 中佐藤麻記子)

 

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