ピープル

ディシプリンド・アジャイル・フレームワークの背景にある指針の1つは、”ピープル・ファースト”である。私達がピープル(人々)と言うときに意味するもの、人々が協力する方法、そして人々が組織化される方法は、成功するための主たる決定要因なのだ。このページは3つの主要なトピックで構成されている。

 

個人

この数年間、Dan Pink氏(*訳注1)の研究成果は、アジャイルチームを編成するときの成功の拠り所として広く採用されてきた。彼の研究が示しているのは、内発的動機付けが、(金銭や快適なオフィスといった)外発的動機付けよりもはるかに重要ということだ。内発的動機付けとは;

*訳注1:TEDトークの“やる気に関する驚きの科学”で知られている。

  1. 成長
    人はより良くなりたいと望むものである。それはスキルを高めることで仕事を有能にこなせるようになることだ。ディシプリンド・アジャイルでは、学習指向のアプローチによってこれを支援する – 例えばチームが定期的に自分達の働きがどれくらいかを顧みる場合、チームが新しいアイデアとテクノロジーをspikeによって探求する場合、人々が自分の技術と知識を他者と共有する責任がある場合、そしてチームが問題と解決の両方を進化的な手法で敢えて探求する場合など。さらに、ディシプリンド・アジャイル・フレームワークは、人々が”T字型スキル”のゼネラルスペシャリストである戦略を促進する。それは、1つ以上の専門性の他に、ソフトウェア工学と自分の仕事に関する領域について幅広い知識を持つことだ。
  2. 自主性
    人は自分の人生を思い通りにできることを望むものである。アジャイルにおいてそれを最もよく表しているのが、チームは自己組織化すべきであり自分達のプロセスを自ら制するべきであるという原則だ。ディシプリンド・アジャイルは次の指摘をすることでこれらの原則を強化する – 自己組織化が適切なガバナンスによって調節されなければならないこと、そして自分達のプロセスを効果的に制するためにチームは(DAの”ゴール駆動アプローチ(未翻訳)” による)軽量ガイダンスを受けねばならないこと(*訳注2)。
  3. 目的
    人は自分自身より大きな何かをゴールにすることで動機付けられる。利害関係者と共通のビジョンに達することが、ディシプリンド・アジャイル・デリバリーのチームにおける最初のマイルストーンである。それは、構築期間を通してチームを導くビジョンであり、DAの”チームミッションを遂行する(未翻訳)” のプロセス・ゴールに明文化されているコンセプトだ。なお、DAの”エンタープライズ対応(未翻訳)” の見解は、チームが自分達の属する組織を理解し目を向けるべきという考え方を促進する。これは、チームにとって都合のいいことの代わりに、自分達が働く組織にとってベストなことを行うためだ。

*訳注2:矛盾するようだが、自主性を高めるには規律性を育む働きかけが必要ということだろう。

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チーム

個人の動機付けを促進する要因があるように、チームでの効果的なパフォーマンスの動機付けを促進する力学がある。私達がたどり着いた最も簡潔な説明は、Google内部の研究結果に由来するものである。彼らの信条として、成功するチームには以下の5つの基本的な力学があるという;

      1. 心理的安全性
        チームメンバーは、気兼ねなくリスクを冒し、非難合戦を恐れずに考えを共有する必要がある。ディシプリンド・アジャイル・チームのメンバーには次の責任がある – お互いを尊敬し、他者と交流するときは謙遜し、実験を行い、協同で働き、他者にスキルと知識を共有し、そして他者からも新しいアイデアと技術を学ぶよう受け入れること。
      2. 信頼性
        チームメンバーは、お互いに任せられる必要がある。誰もが信頼できて、オープンで、正直な態度で働かねばならない。ディシプリンド・アジャイル・チームのメンバーには次の責任がある – 信頼できる態度で働き、自分が約束したことを守り、そしてたとえ仕事が不完全であってもタイムリーに情報を提供すること。
      3. チーム構造と透明性
        チームのビジョン、チームに属する人々の”役割と責務(未翻訳)”、そしてチームがどのように一緒に働くのかという計画は、明らかにせねばならない。ディシプリンド・アジャイル・チームは自己組織的である(適切なガバナンスでチームの努力を引き出して高めながらも)。それが意味するところは、チーム自身の構造と透明性に対して責任があるということだ。
      4. 仕事の意義
        チームは、自分達にとって有意義な仕事に取り組むべきである。ソリューションデリバリーチームはソリューションの開発または設計に取り組むことで利害関係者にとっての真価を高め、エンタープライズアーキテクチャーチームは組織にとってのビジョンを開発・維持・発展させ、そしてデータ管理チームは組織としての情報資産を維持・発展させるだろう。異なるゴールを持つ異なるチームは異なる意義にたどり着くだろう – ITは単に出荷可能なソフトウェアを作ればいい、ということではない。
      5. 仕事の影響
        チームが行う仕事は重要なものでなければならない。または、前述のDan Pink氏が言うように、仕事には大きな目的がある。

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組織

組織とは、複雑適応系(complex adaptive systems)である。それらが複雑な理由は、相互作用するチームの動的ネットワークであり、その全体が各部の総和よりも卓越(*訳注3)しているからである(少なくとも効果的な組織ではそうだ)。それらが適応できる理由は、(アジャイルのアドバイスどおりに)個々のチームが自己組織化し、学習し、進化し、そしてより重要なこととして、あるチームの変化が他のチームの変化に影響を及ぼして相互作用するからである。チームが互いに似ている複雑適応系では、彼らは文化的見地とゴールを共にする。たとえチームや組織全体が時間とともに環境の変化に応じて進化するとしても。

*訳注3:複雑適応系における”創発(emergence:自律的な要素が集積して相互作用することで、高度で複雑な秩序やシステムが生じること)”を示唆しているのだろう。

この下にある図は、ディシプリンド・アジャイル・IT領域のハイレベルなワークフローを示している。この図はプロセスにフォーカスしているけれども、それは潜在的な組織構造を意味する。中~大規模の組織には多くの開発チームがあるだろう。例えば”リリース管理/調整(未翻訳)”  にフォーカスしたチーム、運用チーム、データチーム、アーキテクチャーチームなど。ときには、プロセスと組織構造の関係は1対1ではない。例えば”エンタープライズアーキテクチャー(未翻訳)” と”再利用エンジニアリング(未翻訳)” の責任が同じチームにあるのは一般的であり、例えば1つのチームがリリース管理、運用、サポートを扱うこともある。

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便宜上、あなたのIT部門には、複数のデリバリーチーム(緑色っぽい小円)と、その他の各活動(黄色と灰色の小円)ごとに1つずつのチームがあると仮定しよう。この部門は1つの複雑適応系であり、そこではデリバリーチームが学習したことが彼らの仕事のやり方の変化を動機付け、それがさらに潜在的にいくらかの影響を及ぼしていくだろう – 例えばチームの”アーキテクチャーオーナー(未翻訳)” が”エンタープライズアーキテクチャー(未翻訳)” のチームと相互作用し、チームの”プロダクトオーナー(未翻訳)” が”プロダクト管理(未翻訳)” チームと相互作用し、チームのメンバーが”再利用エンジニアリング(未翻訳)” チームと相互作用し、そして他の多くの可能性に。これらの変化が、今度はエンタープライズアーキテクチャーチーム内やプロダクト管理チーム内などの行動の変化を動機付けするだろう。同様に、エンタープライズアーキテクチャーチーム内の変化は、おそらく再利用エンジニアリングチームやデリバリーチームなどに波及するだろう。適応可能な学習の速度を高めるために、ディシプリンド・アジャイル・フレームワークは”継続的改善(未翻訳)” の”プロセスブレード(未翻訳)” を包含する。これは、学習したことを組織中で明示的に共有するものだ。

オリジナル:People
http://www.disciplinedagiledelivery.com/people/
 (翻訳 大隈登)

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