継続的改善

継続的改善の”プロセスブレード(未翻訳)”の目的は、組織内の人々が自分達の改善で互いに学習したことを、体系的な方法で、簡単に共有できるようにすることだ。本稿では次のトピックについて説明する。

なぜ継続的改善なのか?

組織内で継続的改善プログラムを実施する理由はいくつかある。

  1. アイデアが出てから実現するまでの時間を短縮する
    改善のアイデアは、組織内において、誰でも、いつでも、どこでも出すことができる。そのため、それらのアイデアを見定めて探求し、それらを迅速に実現するのに最適な人物(達)に届けるような、組織的な仕組みが求められる。
  2. スキルと知識の共有を進める
    アジャイルチームの特性である高度コラボレーション環境は、それぞれのチーム内でスキルと知識を共有するには素晴らしいのだが、しかし、組織内で学べる人々は仲間のチームメンバーだけではない。継続的改善プログラムの重要なゴールは、人々が自分のスキルと知識を所属チームの外で共有することを促し可能にすることである。 これは、プラクティスコミュニティ、オンライン・ディスカッションフォーラム、実践者によるプレゼンテーション、その他多くの戦略を通じて行うことができる。
  3. 失敗ROI”を最大化する
    リーン思考の基本は、失敗から学び、それぞれの”失敗”を改善する機会とみなすことだ。とはいうものの、どのチームも同じ失敗を経験する必要はない。 1チーム、場合によっては数チームが同様の方法で失敗し、そこから学習したことを他のチームと共有する。これによって、他のチームはその手の失敗を回避して、組織における学習価値を高めることができる。しかし、それができるのは失敗しても安全である場合に限られ、さらに望ましいのは、失敗を称えられながら学習したことを他者と共有できる場合である。
  4. 抜本的な改善の機会を増やす
    日本のカイゼン(小さな改善をコツコツと続けること)に取り組むのは、改善の道を歩むことはできるのだが、プロセスを飛躍的に進歩させることは決してない。そう、物事は良くなっているけれども、物事をもっと良くするための機会を逃がしているのかも知れない。例えば、スクラムベースのアジャイル/基本ライフサイクルに従っているチームは、継続的展開(CD)戦略を彼ら自身で見極めることがない。なぜなら、2週間のイテレーションを行っていると、1日に数回も本番環境にリリースするという考えにはならないだろうからだ。それでも、もしチームの人々が、組織の他のチームがそのように働いていることを聞いたなら、すぐにCDの手法で実験し始めるかも知れない。このことは、”抜本的な”プロセス改善、すなわちタイムボックスによるイテレーションをやめて、DAの継続的デリバリーライフサイクルに非常に近いものへ移行することになり得る。

要するに、組織には潜在的な改善をチーム間で伝えるための戦略が必要である。理想的には、作業フローを合理化して、できるだけ簡単にチーム同士がお互いから学べるようにすべきである。

プロセス

以下のプロセスゴール図は、ディシプリンド・アジャイルの継続的改善に関連する潜在的な活動を示している。これらの活動は、プロセス改善チーム(ソフトウェアエンジニアリングプロセスグループ、またはSEPGと呼ばれることもある)が実施するか、または少なくとも支援するだろう。これらのプラクティスのいくつかを、センターオブエクセレンス(CoEs)が実施し、プラクティスコミュニティ(CoPs)が支援することもある(もしあれば)。

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継続的改善のために考慮する必要のあるプロセス要因は次のとおり。

  1. 改善の見極め
    プロセス改善のグループが、組織内の潜在的な改善の見極めを支援する方法にはいくつかある。より効果的な戦略の1つは、定期的なふりかえりを継続するプラクティスを、各チームが採用するよう手助けすることだ。ふりかえりを継続することは、ディシプリンド・アジャイル・デリバリーチームにとっては一般的であるが、しかし、エンタープライズアーキテクチャチーム、ITガバナンスチーム、データ管理チームなどにとっては新しい概念であることが多い。バリューストリームマッピングとブレインストーミングのセッションも大変良い影響力があり、従来のプロセスモデリング手法よりはるかに効果的だということが決まって証明される。プロセスモデリングでは、単に現行と提案するプロセスのモデルを作成するだけで、提案された新しいやり方が継続的に受け入れられることはめったにないようだ。
  2. 改善の共有
    上の図にあるように、チーム間で改善のアイデアを共有する方法は幾つもあり、その多くは無料か非常に安価で実施できる。私達が大変良い経験をしてきたのは、ディスカッションフォーラム(JiveやActiveBoardのような)、実践者によるプレゼンテーション(”昼食と学習”とも呼ばれ、学習したことを他の人に発表する)、リーンコーヒーセッション(アイデアを共有するため定期的な会合を自発的に行う)、そしてプラクティスコミュニティ(”ギルド”とも呼ばれ、特定のトピックについて自らを教育するため意図的に協力する)によってである。
  3. 改善の明文化
    改善を見極めてから、時間が経ってもそれらを保持するために明文化する方法は様々である。考えられる戦略として、各学習内容を記述したドキュメントを、Sharepointなどのドキュメントリポジトリやもっと単純に共有フォルダで管理したり、Confluenceなどの共有できるwikiで学習内容を明文化したり、StagesRational Method Composerなどのプロセスリポジトリを使ってプロセスの進化を記述したり、またはEnterprise Transformation Advisorなどのエキスパートシステムを介したり、といったものがある。
  4. チームの支援
    プロセス改善チームは、他のチームがプロセス改善技術を取り入れるよう、トレーニング・教育・コーチングを通じて手助けできる。彼らはまた、チームのアセスメントやふりかえりのファシリテートもできる(素晴らしいアイデアとして、それらのスキルを伝えるために、2~3回のふりかえりをチームの誰かと共同でファシリテートする)。非常に効果的な戦略は、プロセス改善の実験を1つか2つ行うよう、チームを手助けすることである(特にチームがコーチに支援されていない状況において)。これによってチームは、新しいアイデアが役に立つかどうかを2~3回のイテレーションで安全に試せることを確認できる。多くのチームが、特にアジャイルに慣れていないと、そのような実験を行う権限がないと思うことがよくあるので、手助けが必要になる。
  5. プラクティスコミュニティの立ち上げ(CoPs)
    プラクティスコミュニティ(CoP)は、技能や職能を共有する人々の集まりであり、お互いから”学ぶ”ために団結して、自分達やしばしば組織さえも発展させる。私達は、テスト、アーキテクチャ、アジャイル/リーン、ビジネス分析、技術的負債、その他多くの分野でCoPsを見てきた。CoPsはしばしば、上記のプロセス要因(改善の見極め、改善の共有、改善の明文化、チームの支援)で求められる活動を行う。CoPは、組織内の1人または複数の実践者が必要性を認識したときに始めることがよくある一方で、対応するセンターオブエクセレンス(CoE)の取り組みをより効果的にするために始めることもある。 CoPへの参加は、通常は任意である。
  6. センターオブエクセレンスの組織化(CoEs)
    センターオブエクセレンス(CoE)は、専門的能力と専門的技術を持つ人々のグループであり、リーダーシップを提供して、その知識を組織内で意図的に広める。CoEsは、新しい技術や手法の採用を支援するために組織が発足させることが多く、実際のところ、アジャイルCoEの発足は、組織全体がアジャイルへ転換するための重要な構成要素となることが多い。私達は長年にわたってCoEsを見てきた。例えば、オブジェクト技術(特にほとんどの企業にとって新しいものであった90年代の)、ソリューション・アーキテクチャー、テスト自動化、そしてもちろんアジャイル/リーンで。CoEのメンバーとして参加することは、その人の業務である。
  7. 改善のガバナンス
    ごく一般的に、経営陣は、アジャイルやリーンの手法(または他の潜在的な改善)を採用するために投資して組織が利益を得ているかどうか、どれくらい改善しているのか、そしてどれほど採用が普及しているのかを知りたがる。これは、できれば軽量かつ合理的な方法で、改善活動をモニターし報告する必要があることを意味する。

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内部ワークフロー

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オリジナル:Continuous Improvement
http://www.disciplinedagiledelivery.com/agility-at-scale/continuous-improvement/

 (翻訳 大隈登)

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